◆ 29番・天狗岩〜34番・吉祥寺 ◆


34番・大光山 吉祥寺

徳雲院境内にある客間と続きで座禅堂になっている></DIV>
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31番・徳雲院。ハイカーたちもしばし立ち寄る

◆写真左上は、徳雲院で、ハイカーたちも立ち寄り境内を散策している。この辺は落合と言い、秋川と養沢川が落ち合う事からその名がついた。気さくな住職のお話が聞けるのも巡拝時の楽しみである。さらに秋川札所のお話もいろいろ伺える。寺の南側には秋川にすぐ下りる所があり、川沿いが散策路になっている。春は梅、夏はホタル、秋は紅葉、冬は雪景色と四季感が満載の徳雲院である。

◆写真右上は、境内にある客間と、続きで奥側に座禅堂がある。座禅は朝4時から行っているが、遠く秩父から座禅に駆けつける人もいるとか…。

扁額:龍化山

*ご詠歌は、「谷川の水落合の寺なれば 心も清き 有明の月」

31番・ 龍化山 徳雲院

30番・魔王山 明光院(みょうこういん)
明光院のある養沢の軍道周辺の山々
扁額:魔王山 明光院

◆写真上、30番の魔王山 明光院はかつては妙光庵と呼ばれていた。養沢川沿いを走る都道201号線の小宮小学校の先を左折し旧道に入り、急な坂を明光院の屋根を目印に、狭い道をそのまま上がって行くと寺の駐車場にたどり着く。かなり上る。
 さらにずっと上には高明山があり、ハイキングコースが続いている。寺は通常無住で31番の徳雲院が兼務する。

◆写真左は、明光院そばの軍道会館から見た一景。この辺は養沢地区と乙津地区が入り組んでいる。まさに山あいに囲まれのんびりとした所である。

*ご詠歌は、「妙光の光は弥陀の浄土かや 暗き迷いは 無きとこそ聞く」

30番・ 魔王山 明光庵 (廃寺)→明光院(みょうこういん)


秋川34所 四方山話

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五日市の養沢川。上流に進むと御岳山参道に続く


▲秋川の川沿いに十里木という交差点があり、そこに養沢川が合流している。
川は養沢地区の山間を縫うように流れ、途中にはマス釣り場もある。
 十里木から養沢川の上流に向かうと、廃寺も含め6ヶ所もの秋川札所が点在する。
其の先には大岳鍾乳洞や御岳山への登り口がある。

20番・芙蓉山 松岩寺

*ご詠歌は、「四季咲きの桜をつまに天狗岩 いつまでも御座れ はなは自慢だ」

29番・ 天狗岩

扁額:能化堂

◆写真左は、天狗岩の東側とそのたもとに祀られている地蔵堂、そして地蔵菩薩の標石碑。そばで見上げると圧巻である。昔から山や大きな岩などは神が宿るとして崇拝していたようだ。多摩地方には他にも天狗岩と呼ばれる場所が散在する。

◆写真右は、天狗岩の北側で高さ10丈(凡そ30m)と言われ、切り立った壁面となっている。ここはロッククライマーたちの穴場とかで、あちこちにカラビナが打ち込まれていた。この日も数人のクライマーが登っている。

そそり立つ天狗岩の北側壁面
29番・天狗岩とその前面に祀られている地蔵堂と地蔵菩薩標石碑

五日市盆堀地区の祭礼のとき、戸倉から応援に来たお囃子連

▲秋川札所を巡拝していると、五日市の山間にある集落の祭礼に出会うことがある。
 この日(2011/10/29)は盆堀地区の自治会館で、新宿区による植林事業完成イベントが行われるため、戸倉地区のお囃子連が応援に来ていた。
 盆堀地区の祭礼は、通常8月第2週の土日に開催される。

備  考
   【札所巡拝中に取材した中から紹介します】
◆「秋川三十四所」巡りは、凡そ1855年頃に、札所2番・光厳寺(あきる野市戸倉)の住職らにより34ヶ所を選び、霊場が出来たようである。札所巡りは、参拝と御詠歌奉詠が主なもので納経はなかったようである。

 34ヶ所と言えば、通常「秩父34観音」霊場が思いつくが、この秋川沿いに34ヶ所もの観世音菩薩のある寺院を定めることは、到底無理だったのであろう。よってこの札所は各寺院の本尊になっている。札所には、10ヶ所以上の廃寺・廃堂がある。それらは全て2番・光厳寺、21番・大悲願寺、6番・広徳寺などの末寺で無住もあるが、それでも札所に入っている。廃寺・廃堂などは、明治期の廃仏毀釈の影響による。

◆秋川エリアには、住職の居る寺院はまだまだあったが、秋川札所に入ってもらうにはいろいろと難もあったのであろう。そこで、末寺を札所に入れれば、まとめるにも多少の都合良さもあったと思われる。

◆現在、札所を巡りながら各寺院で伺ってみても、札所の存在さえも忘れ去られ、古文書や石碑、文献などにもなかなか辿りつけない。マニアックを通り越して幻の札所?とでもなるのでしょうか。
 それでも、札所一覧と地図を頼りに散策すれば巡拝は大体可能である。秋川沿いをハイキング気分で巡ってみるのも良いかも知れません。

  ※参考: 多摩郷土研究、秋川市 多西郷土精史、全国三十三所札所辞典、
    多摩のあゆみ、新編武蔵風土記稿など 

 
◆写真左上。手前にある寺の駐車場から続く参道と吉祥寺の標石、そして色づいた周辺の紅葉。左奥のイチョウはこれから一週間後に黄葉を迎える

◆写真右上は、臨済宗建長寺末寺、大光山 吉祥寺の本堂。十間半に六間という大きさで左手には大きな楓の木がある。本尊は六寸の釈迦如来木座像で脇持には四寸の文殊菩薩と普賢菩薩を安置する。
 桧原街道のたちばな橋交差点そばにある細い登り道を上がると、寺への参道が目に入る。三十四所結願に相応しい古刹である。
 また近所の話しでは、毎月座禅会が開かれていたが、住職高齢のため、2ヶ月に一度となったようである。
34番・吉祥寺参道と紅葉
34番・大光山 吉祥寺
扁額:吉祥禅寺

*ご詠歌は、「関を越し 橘橋をわたり来て 大慈大悲と 札納めけり」

扁額:天照山 龍珠院

*戯れの歌として、「尊さよ衆生済度のためにとて 山の上にと地蔵まします」 また、
二反坂を詠んだ歌として「一反に上ろとすれば二反坂 三ざ休んで下る乙津村」

◆札所33番・天照山 龍珠院。桧原街道から大沢林道に入り、乙津自治会館のさらに上の高台に寺の駐車場がある。そこからさらに細い参道を上ると本堂にたどり着く。その参道の両脇には、古い地蔵が並んでいて風情を感じる。(駐車場から上るせまい一般道は二反坂と呼ばれている) また当寺と、ときがわ町にある入比坂東33観音33番の正法寺とは法縁関係にあるという。

◆写真左は、本堂左側は池に面しており、たくさんの錦鯉が回遊している。また境内のモミジが色づくのは11月中旬ごろという。

33番・ 天照山 龍珠院

33番・天照山 龍珠院
龍珠院本堂左側にある池。錦鯉が泳いでいる。

◆写真上は、東渓院の跡地に建つお堂で、2016年頃建立され、
東渓院の扁額も付けられた。
お堂は小さいが、中には数体の佛さまが安置されている。
 2018/10

◆かつての客殿は七間の四間半で、千手観音木立像が
安置されていた。お堂の向こう側は崖になっており、
下には養沢川が流れ、沿うように都道201号線が走っている。
その道を上流にたどれば、29番・天狗岩、
27番・養沢寺のお堂、28番・常光寺のお堂へと続いている。

東渓院跡地に立つ歴代住職名の碑

◆写真上は、お堂の北側に墓地と共に建つ
古い墓石群と近年建てられた墓誌で、
東渓院歴代の住職名が刻まれている。

*ご詠歌は、「諸人の病をすくう薬師仏 心へだてぬ 瑠璃の寺岡」

32番・ 長栄山 東渓院 (廃寺)